首都圏や全国の住宅事情|今は売り手市場?

全国の新築住宅着工戸数は、バブル崩壊前、年間160万戸を維持していましたが、バブル崩壊後は全体的に見ると低下傾向を見せ、2013年度の消費増税前駆け込み需要以降は、年間90万戸と低迷し、今後は年間60万戸にまで減少するとの見方もあります。その間の着工戸数は消費増税前駆け込み需要、兵庫県南部地震復興需要の場合は増加するものの、耐震偽装事件、建築基準法改正の時には落ち込むなど、増加と減少を繰り返してきました。しかし、全体的な傾向は長期の低下傾向であることに変わりはありません。首都圏においても着工件数の低下傾向に変わりはありませんが、全国平均よりも緩やかな減少に留まっています。

バブル崩壊以降の着工件数の低下傾向は、経済低迷の影響はあるものの、日本が人口減少局面に入ったことと無関係ではありません。着工件数に影響を与える要因としては、人口及び世帯数、経済成長、住宅ストックがあります。人口及び世帯数では、移動人口の減少が象徴的で、2013年度には1000万人だったものが、2025年には790万人にまで減少することが予想されています。経済成長の指標である名目GDPは、今後2025年にかけて、年1%前後で推移するものと予測されています。住宅ストックの指標となる平均築年数は今後も上昇を続け、2025年には27年に達する見通しです。これらの要因から今後の予測を立てると、今後数年は年間着工件数が90万戸台で推移し、2025年にかけて減少を続け、60万戸台にまで落ち込むと予想されます。

リフォームは2013年度に6.7兆円規模にまで成長していますが、今後はほぼ同じか若干の減少で推移するものと考えられています。新築の伸びは考えられないため、国民の住生活の向上と、建築産業の発展のためには、住宅の長寿命化と中古物件の流通促進が必要となります。また、産業の枠組みを超えた、異業種からの参入を促進し、市場を活性化することが求められます。長寿命化に対しては、長期優良住宅の制度や、性能表示制度により、質の高い住環境の整備が進められています。中古物件の流通促進では、宅地建物取引業法の改正により、重要事項説明で購入者の要望があれば、既存物件の調査を行ない、その結果の報告が求められるようになりました。

戦後の日本政府は、持ち家政策を推進してきました。高度経済成長と長期のインフレは、家の取得を容易にしました。金融公庫などから借り入れをし、無理のない返済が可能でした。しかし現在は日本の経済成長は低迷しています。インフラは終わり、デフレ経済が基調となる中では、借り入れにより持家を取得するのは以前より困難な状況となっています。デフレ下の低成長時代において、住まいを求めるには二つの方法があります。一つは現金による購入、もしくは、自己資金を借入金よりも多く用意しての、借り入れによる購入です。借り入れ金利は低くても、デフレ経済は今後も続きます。大きな企業でも今後の安定が期待できない現代は雇用も安定せず、高額なローンの借り入れは危険です。もう一つの住まいの求めかたは、賃貸物件の利用です。賃貸物件はアパート、マンション共に高級化が進み、ワンルームでもキッチンとダイニングが配置されたものとなっています。マンションは省エネ法による断熱化で暖冷房費が抑えられ、新耐震設計基準により地震に対して安全です。賃貸物件は終の棲家として十分住まうことができます。

従来、圧倒的な人気を誇っていた一戸建てに代わり、分譲マンションが人気を集めています。都心の利便性の良い立地が人気を集める主な理由です。一戸建ては郊外に求めなければならず、通勤通学に不便な他、資産価値が低下する心配もあり人気がありません。しかし、資産維持の観点から分譲マンションは必ずしも有利ではありません。マンションは住人同士で組織した管理組合によって管理されますが、将来にわたって管理組合が機能を維持するのは難しい場合があります。分譲マンションは同じ時期に売り出され、購入者の年齢も同じ年代層がほとんどです。このことは、一定の歳月を経ると、住人が同時に高齢を迎えることを意味します。高齢となった住人は老人福祉施設への入居、所有物件の賃貸などにより、マンションに住まなくなる事態が続出します。そのことにより管理組合が形骸化し、大規模改修のための費用の積み立てや、建物の維持管理が難しい事態になることが予想されます。都心のマンションは必ずしも安心できず、管理しやすい一戸建ても根強い人気を維持しています。

住まいを首都圏に求めるか、地方に求めるかは難しい問題です。仕事のできる年代層にとっては、首都圏は暮らしやすい場所です。しかし、首都圏も急速な高齢化による問題の発生が予測されます。医療介護施設の不足や、介護人員の不足は今後ますます深刻化し、首都圏が高齢者にとって暮らしやすい場所ではなくなることも予想されます。地震災害や噴火による被害も心配され、持ち家は地方に所有し、首都圏では賃貸で過ごす人も増えています。住まいをどこに求めるかの判断は、慎重な判断が求められます。

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